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今回の展示作品は、浮遊シリーズ、動物の肖像シリーズ、スター(アーティスト&ロッカー)の肖像シリーズで構成されています。
浮遊シリーズは、私が想いを馳せる名画(油彩画の技法を確立したヤン・ファン・エイクや絵画の黄金期に君臨するヴェラスケスなど)への憧れを、私が幼い頃に集めていたキン肉マン消しゴムというアニメのキャラクター玩具の形に落とし込むことで、自分と、巨匠との距離感を縮めることが目的でした。そこから、私は自分の立ち位置を明確にして、自分自身の表現を始めるスタートラインを築くことが目的でした。
動物の肖像シリーズは、始め、自分の飼っていたペットをモデルに制作をしました。私は、絵を描くということは、自分の生活からは懸け離れた(と私自身は感じる)モダニズム以降の絵画理論をもとに制作をするのではなく、もっと、自分にとって身近なところから作品を生みだすべきではないか、と考えていました。自分の人生と芸術を行うことへの距離感や関係性が制作の発端でした。また、王侯貴族や有力者の肖像画を生業にしてきた画家の創作活動が、今日では、そういったものを重要視しない風潮に対するアンチテーゼとしての意味合いもあったように思います。かのジャコメッティは「君が王様なら、僕は喜んで君の肖像画を制作するよ。」と言ったといいます。そういった想いが私にも存在しています。
スターの肖像シリーズは芸術家やロックスターがモデルです。現代において求心力を失わず、人々の心の中に存在し続けるスターを、その憧れのままに描くことが制作の動機でした。私にとってスターや天才というものは羨望と尊敬の対象であり、また畏怖の念を抱く存在でもあります。ある種、現代の”神話”として生き続ける彼らを、太古の芸術家がおこなったように、自分の持てる技術の全てを捧げて具現化する。そういった個人主義の芸術家ではなく、職人としての意識の中で絵画を制作することが私の頭の中にあったことは確かです。
私は過去の偉大な芸術家たちととつながりを持ちたいと願っています。彼らがどのようにして身の回りのものを絵にしてきたのか。そういった過去の巨匠が築き上げてきたものが、私を惹き付けてやみません。偉大な先人たちと地続きの歴史を歩みたいと、日々、夢想します。
しかし、現代を生きる者として、それが不可能だということも知っています。古典的な絵画への憧れを持ちながら、現代人としての感覚も失わないこと。現代を生きる自分自身を基点として創作活動をおこなうこと。そのジレンマが私の創作活動へのエネルギーであり、制作へと向かわせる原動力となっています。
市川友章




